私達はつい最近、日本の読者から、嬉しいことにメッセージを受け取りました。
ジアおける新たな帝国主義的超大国としての中国の興隆と、悪化を繰り返す韓国および北朝鮮と日本の間の緊張に直面してきました。日本の帝国主義はアメリカの軍事力に強く依存している一方、独自の野望も持っている。長年に渡り日本は自身の領海権外への干渉を少しづつ強めてきた。最初はペルシア湾でのアメリカ軍への非武装補給支援という形で、次にアデン海峡に軍事部隊を派遣した。同時に、海上自衛隊は南東アジアでの軍事行動への関与を強めてきた。自衛隊は常に近代化され続け、防衛費を増大させている。最近中東で殺害された二人の日本人民間人は日本の帝国主義にとってその軍事的野望を強化する格好の材料となった。こうした近年の日本の軍事主義化に対して平和主義的視野を持つ人たちが増えているとはいえ、革命家たちは、軍事主義という癌に対して平和主義的解決法はなく、システムそのものをひっくり返す他ないということを強調しなければなりません。
私達は読者の分析を送ってくださることを歓迎します。
「イスラム国」は、拘束していた日本人、湯川遥菜さん、後藤健二さんを殺害した(1月24日、31日 ネットで公開)。
二人の即時解放を願い連日のように行われていた集会・デモは、全国規模での追悼行動となった。
遅くとも昨年末、衆院選以前に日本政府は二人の拘束の事実を掴んでいた。
そうした中で安倍晋三首相は1月17日、訪問先のカイロでの中東政策演説で、「イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるため」「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援」すると「約束」した。また「中東全体を視野に入れ」、「非軍事分野に25億ドル相当の支援を、新たに実施」すると強調した(日本国・外務省ホームページ)。
1月20日の「イスラム国」による「72時間以内に2億ドル払わなければ二人を殺害」するとの脅しは、この安倍スピーチと日本政府の姿勢への応答である。
安倍首相は6日間の中東歴訪で、日本の首相として9年ぶりにイスラエルを訪問し、政府高官と日本企業幹部約100人が同行したといわれる(1月19日 AFP)。
「ブッシュの戦争」ーアフガニスタン(2001年)・イラク戦争(03年)を起点に、昨年のイラク・シリア空爆と、現在も中東において殺戮と侵略の道をひた走る「米国との同盟を進展させ」(2015年12月17日 「国家安全保障戦略」)ながら、日本は英、仏ほか60カ国と共に「有志連合」に加わっている。
2月12日の施政方針演説においても安倍首相は「テロと戦う国際社会において、日本としての責任を、毅然として果たしてゆく」ことをあらためて強調した。
一方、ソマリア沖・アデン湾海域の「海賊対策」を名目として設置された自衛隊のジブチ拠点(東アフリカ)の事実上の基地化が目論まれており(1月19日 朝日新聞)、日本は中東・アフリカを睨んだ独自の軍事的足がかりを固めつつある。
安倍政権が唱える「積極的平和主義」「地球儀を俯瞰する外交」が意味する好戦的侵略的内実は明らかだ。
米国主導の「有志連合」による「イスラム国」ーイラク・シリアへの空爆再開ー地上戦開始を許さず、「テロと戦う」ことを口実とした集団的自衛権行使容認や安全保障関連法案の成立、日米ガイドライン再改定、自衛隊派兵を阻まねばならない。
「イスラム国」による限りない蛮行はまず糾弾されるべきである。
しかしながら「イスラム国」の台頭が、この「文明的」世界のシステムー現代資本主義に因ることを忘れてはならない(米ソ冷戦体制終了後、中東地域に牙を剝いた支配階級・ブルジョアジーの暴力、虐殺と破壊を。欧米におけるムスリム系の人々への差別・収奪と貧困の強制を)。
さらに世紀を遡っての、ヨーロッパ対中東、支配/被支配の政治的経済的検証を、資本主義批判として明らかにする必要がある。
1月7日パリの惨劇以降より鮮明となった「反テロ」大連合ーブルジョア「民主主義」(「パリの虐殺ーテロは腐りゆくブルジョア社会の表れだ」 https://en.internationalism.org/icconline/201501/11878/massacre-paris-terrorism-expression-rotting-bourgeois-society)の腐敗と、これに追従する「左翼」諸勢力の混乱を批判し、国際主義とプロレタリアートの前進によって、中東地域における<野蛮>と<野蛮>の衝突を終わらせなけばならない。