かつてないほど、そして同時に、世界の国々は労働者の闘争によって揺れている。これは国際的規模で高まる労働者階級の攻勢と戦闘性の証左 である。ブルジョワ的メディアによる報道管制に対して、われわれは2008年初頭より世界中で闘われてきたいくつかの例を紹介する。(場所、地域、資本・ 企業名などの固有名詞については英語発音のカタカナ表記・ローマ字読みを付した。)
ヨーロッパ
ベルギー 3月にGenk(ゲンク)市のフォード社で複数のストライキ。Mortsel(モルトセル)市にて臨時 契約の導入に反対するストライキ、Bruxelles(ブラッセルズ)市では交通ストライキが闘われる。BP石油化学会社で山猫ストライキ(一部の労働 者・組合員が労働組合の規範・方針とは別個に敢行するストライキ)、Ceva(セヴァ)物流会社でリストラに反対するストライキが起こる。
ギリシア 年の初めから、「年金には手を触れない」と公約し再選された保守政権が行なおうとしている年金の「改善」に反対する24のゼネスト。現在も保守派は年金の 30~40%削減、既存の定年制度を変え、男性の場合は65歳以上、女性は60歳以上へと支給開始年齢を引き上げることを提案している。ストライキは社会 保障の「改善」(基金の合併、安全基金の削減。低賃金労働者への援護廃止)へも向けられた。そしてそれは国の主要な経済活動、つまり運輸、銀行、郵便、 通信、鉄道などを麻痺させた。3月19日の最後のストライキでは、数百万人がデモに参加した。
アイルランド 4月上旬に15日間以上に及んだ看護士4万人のストライキが、10%の賃金上昇や1週間の労働時間を35時間以内に短縮することを要求に掲げた。 Belfast(ベルファスト)市で、空港内の新ターミナル開設に伴う新たな労働条件に反対したAer Lingus(エアーリンガス)社のパイロットたちが闘争に決起。Limerick(リメリッキ)市で、新しい賃金契約を要求するバス運転士25人が、労 組の指揮を聞かずに、山猫ストライキを実行。
イタリア ナポリ地域では、Pomigliano(ポミグリアノ)市のFiat(フィアット)社工場の労働者が316の人員流出に対して、4月10日にストライキを決行(会社のこの方針が常態化することを労働者たちは恐れている)。
ロシア 労働者3000人によってボーキサイト鉱山が1週間以上占拠された。労働者たちは50%の増給や最近抑えられた公的給付金の復旧を求めていた。この運動は、国全体そして地元住民の多くの支持を得た。経営側は、公的給付金の一部と20%増給を承認した。
スイス Bellinzone(ベリンゾーン)市のCFF運送会社で、430人の機械工が126人のリストラに対して1ヶ月間のストライキを行った。他の労働者たちも参加したBerne(ベルン)市でのデモののち、4月9日にリストラ計画は断念された。
トルコ イラク・クルディスタンで起こっている戦争にも関わらず、マルマラ海のテゥズラ造船所で4万3千人の労働者が巨大なストライキを決起。警察に弾圧された2 月28日のデモの後、数千人の労働者たちが2日間ストライキを闘い、造船所にて座り込みを行った。座り込みは警察によって攻撃され、労働者たちには暴行が 加えられ、75人が逮捕された。「僕らの人生は犬どもより価値が低い」と怒りを込めて叫んだ労働者たちは、尊厳のために闘う意志を示していた。逮捕された ストライキ参加者が釈放されて、彼らの要求に対するわずかの要求(衛生や安全性の改善、賃金支払いに関する社会的な保障、出勤日を7時間半に限ることを管理側に約束させ、労働者は仕事に戻った。イスタンブール市で、警察とデモに参加している労働 者たちとの暴力的な衝突。
アフリカ
アルジェリア 4月13日、賃金値上げと新しい賃金制度を拒絶する公務員(150万人におよぶ賃金労働者) による、「違法」なストライキが3日間に及ぶ。マシラ地域におけるハンマム・ダラーにてセメント労働者207人が、労働条件について17項目の要求書を抱 えてストライキを実行。
カメルーン 2007年11月から2008年3月にかけて、ベルギーの会社やフランスのBolloré (ボヨーレ)貴族と関連しているSocapalm(ソカパルム)社が経営しているヤシ油の農園で、非人間的な労働条件に反対した数度のストライキ。
スワジランド 3月末に、よりましな賃金や賞与を獲得するために、アフリカの旧植民地のこの国で、繊維労働者1万6000人によるストライキの動きが起きる。
チュニジア 4月6日と7日に、ゼネストと2008年1月の怒りの爆発(しかしそれは残虐なかたちで制圧され、300人が死亡)の後、リストラに反対して闘っているガ フサ盆地の炭鉱地域の労働者に向けて、抑圧や逮捕の新しい波が発生。3月10日に、4000人を雇用するTeleperformance社でストライキが 行われる。
北米、中米
カナダ Vallée Jonction (ヴァイェー・ジョンクション)にてOlymel(オリミール)社の豚肉加工場に山猫ストライキが発生。労組が、雇用安定に関する保障と引換えに、賃金 30%削減や7年間の給料凍結を受け入れてより1年弱。遅刻出勤した労働者に対する懲戒処分が下ろされて、労働者320人による自然発生的ストライキが続 いていた。経営者側は労組と手を組んで、労働者たちが仕事に復帰し、生産現場での減産・怠業を終結するよう呼びかけてもらった。その直後に、労働者の 70%は、4月20日から非公認、無期限のストライキを行なうことを総会において決定した。
アメリカ合衆国 映画脚本家のストライキはよく知られているが、MTV社の労働者も5000人の戦闘的なストライキを起こした。2月26日にデトロイトやバファロー市に て、Axle and Manufacturing Holding(GM社やChryslerに部品を補給する会社)で、給料や既得権の削減に反対する労働者3650人がストライキ。5月1日に、アフガニ スタンやイラクの戦争に反対する港湾労働者が仕事の一時停止を実行した。
メキシコ 1月11日、(Sonoraという北の州の)Cananea(カナネア)市の国内最大の銅山で、賃上げや労働者の健康と安全管理面の改善を訴え、ストライ キ。このストライキは違法であると国は宣言、警察や特殊部隊による暴力的攻撃が行なわれる(けが人20~40人、逮捕者数人)。最終的に法廷はストライキ の合法性を認める。1月21日には27万人の炭鉱労働者が参加する新しいストライキが行われた。
ベネズエラ Guyana州にて、鉄鋼労働者による巨大なストライキ(製鉄は同国第二位の産業)。「21世紀社会主義のチャンピオン」と名乗るチャヴェズ氏に支配されている国家により、労働者たちは厳しい抑圧に遭わされる。
アジア
中国 1月17日に、麻涌(マチョン)の港湾に、Maersk社でに雇用されている労働者たちが反乱を起こす。広東、深川(シェンジェン)や香港を含む地域 (10万社からなり、1000万人の労働者を雇用している)だけでも、今年に入ってから少なくとも毎日1件、1000人の労働者が関係するストライキが あった!
アラブ首長国連邦 ドバイ市の建設労働者の巨大な反乱の後に譲歩が引き出されてから、「典型的な」鎮圧が施され、「ストライキを煽り立てる」ということで45人の労働者が解 雇、または6ヶ月の実刑を言い渡された。だが、その闘争は影響を持ち続け、4月上旬、隣国のバーレーン首長国で同じく酷い労働条件を苦しんでいる1300 人の建設労働者が1週間のストライキを実行。闘いが地域へ拡大する兆しがますます強くなったこともあり、賃上げは早期に実現できた。6つの湾岸首長国で は、1300万人以上の外国からの出稼ぎ労働者が働いている。
イスラエル 3月、エル・アル航空会社の荷物係による山猫ストライキ。賃金値上げを要求し、超過労働や不安定な雇用契約に反対するためにテルアビブの証券取引所職員がストライキを起こし、金融市場に重大な不安定状態をもたらした。